大阪府建築士会では、大阪府登録文化財所有者の会と協力しながら、
大阪府下を地域ごとに分けた「歴史的建造物マップ」を順次作成されています。
今年度は大阪市北東エリアを対象に、地域に残る文化財の魅力を紹介するマップを作成。
そのマップを片手にまち歩きやシンポジウムも開催される予定だそうです。
こうした活動を通じて、地域に受け継がれてきた建物や文化遺産に目を向け、
保存や継承の大切さを知るきっかけとなること、そしてユニークベニューとしての新しい活用への意識が広がっていくことが期待されています。
今回、そのマップに掲載する建物のひとつとして「太子橋のいえ」が選ばれ、現地確認に大阪ヘリテージマネージャーの方々が来られました。

私も立ち会わせていただくことができ、初めて太子橋のいえを訪れる機会に恵まれました。
実際に足を踏み入れてみると、まず驚いたのはその大きさと存在感です。
戦前に建てられたこの住まいは、幾度もの戦火や震災をくぐり抜け、姿を大きく変えることなく受け継がれてきたそうです。
長い時間を重ねてきた建物だからこそ漂う独特の空気感があり、
そこに暮らす方々の思いや手入れの積み重ねによって守られてきたことが伝わってきます。
そして何より印象的だったのは、住まわれているご家族がとてもあたたかく、
建物と人の魅力が一体となって太子橋のいえの大切さを物語っているように感じられたことです。
太子橋のいえに限らず、地域の歴史的建物は単なる古い建築物ではなく、
そこに生きた人々の暮らしや物語を映し出す大切な文化資産なのだと改めて感じました。
建物と人、地域と文化がつながりながら受け継がれていく姿を学び続けていきたいと思います。
WASH建築設計室 スタッフ 野﨑