和紙の照明カバーの交換

照明カバーが古くなったため取り替えてほしいという依頼があり、和紙のカバーを作りました。

 

依頼をくれたのは、私が修行をしていたエムズ建築設計事務所で2000年ごろに家を建てられた方です。

在職中、メンテナンスを担当させてもらっており、今でもメンテナンスがあると呼んでもらっています。

蛍光灯を覆う和紙を垂らしたカバーがボロボロになっていたので、それを回収してWASH建築設計室の事務所で作り替えました。

広げると長さ約2500mmの長い和紙です。両端は竹の棒が入れられています。シンプルな作りです。

 

近くで見るとなかなか年季が入っています。住まい手が時々補修をしていたのでテープの跡が見られますが、それでも破れてきています。

和紙自体が風化して、触るだけでほどけるように破れていきます。

実はこれを作ったのは建築当時、エムズ建築設計事務所のスタッフの方が作ったということを聞きました。兄弟子です。

かわいい模様も施されていました。

 

今回も和紙で作りますが、少し明るい色の和紙を選びました。

端部が破れてきていたこともあったので、元の和紙よりも分厚い紙を選定しています。

そして、私も少し縁のある美濃和紙です。

事務所のテーブルをつなげて長い和紙の加工を始めます。

 

この和紙の幅は90cm近くあります。

照明カバーとして必要な幅はもう少し小さいので、両端を折って幅を合わせました。

カットしてもよかったのですが、両端が破れにくいように補強をしたいということがありました。

またデザイン的にもラインが入ることですっきりとするのではないかと思います。

 

そして元の照明カバーと同じように、竹の棒が入る袋を作ります。

真ん中にあった丸が四つ並んだ模様はデザインを踏襲して再現しました。

この部分だけ、前の和紙を切り取ってそのまま使っています。

20年ものの和紙を次の時代にも引き継ぎます。

 

出来上がった照明カバーを現場に納品しました。

和紙のカバーがつく前は、シンプルに蛍光灯が付いているだけです。

二つありましたので順番に取り付けです。

 

竹の棒の端部には切り込みが入っています。

言葉では説明しにくいのですが、取り付ける部分の針に鉄釘が付いており、それに引っ掛けて回転させると落ちなくなる仕組みなのです。

竹の筒という特徴を活かしてシンプルに納めるこの手法に、兄弟子のこだわりを感じます。勉強になります。

 

取り付いたらこのようになりました。

なかなかうまくできました。

これからまた大切に使ってもらえたら幸いです。

 

 

WASH建築設計室 日野弘一

 

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