葦ベニアについて


葦ベニヤは910×1820の大きさのベニヤに葦を貼り付けたものです。よく茶室の天井などに使用される素材ですが、和の素材を活かして和室に使用するだけでなく、洋間の天井に張り上げてもきれいに馴染みます。

琵琶湖の自然が作り上げた葦の目や色合いには味があり、趣深い空間となります。

葦の種類


WASH建築設計室では滋賀県の琵琶湖周辺の葦 (ヨシ)を材料として使用しています。琵琶湖周辺の葦はヨシ、ツルヨシ、セイタカヨシの3種類に分けられます。ツルヨシはもともと河川の水辺などに生えるため琵琶湖には少なく、セイタカヨシは水辺よりも少し高い場所に生えるため琵琶湖北部にはありません。3種類の中ではヨシが大群落を作ります。

葦の代表的な産地である琵琶湖周辺の葦業者では、葦を弥勒(美六)、白口、赤口、皮付き、太葦など様々な呼び方があり、それぞれ色の違いや節の長さ、太さが異なります。京式すだれ等に使用する弥勒は高級で、東海地方では白い葦である白口を好んだり、関西では赤い葦である赤口を好んだりするようです。形状も色も様々ですが、細くて節間がほどほどで地味な味わい深い深い色ものが高価です。

葦の琵琶湖での役割


葦の大群落は水の流れを緩めるため、汚れが湖底へ沈みやすくなります。また、水中の茎に付いている微生物や土中にいる微生物は水の汚れを分解してくれます。さらに葦は、水中の窒素、リンを養分として吸い取るため、葦は琵琶湖の水をきれいに保ってくれています。

 

群落は、魚の棲かにもなっています。コイ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナ、キクブナ、ホンモロコなどは卵から孵ってから小魚でいる間は、餌場や隠れ家として葦群落の中で生活をします。他にもヒメニナ、ヒメタニシなどの貝類やヨシノボリ、スジエビなどが生活をする家でもあります。

 

滋賀県では約280種類もの野鳥が観察されていますが、多くの野鳥は葦の群衆で卵を産んで子供を育てたり、餌を採ったり、敵から身を隠したり、寝ぐらにしたりしています。魚だけでなく、鳥の棲かでもあるようです。

琵琶湖の水、魚、鳥たちにとって葦の大群落はなくてはならないものです。

 

葦を守るために

秋の水辺で見られることが多い葦ですが、冬になると陸上部分を刈り取ります。刈り取りを行わないと、群落が荒れてしまうからです。また、刈り取りを行うと次の年にはまた立派な葦が群落を作ります。そのため昔から毎年、ヨシの収穫を行ってきました。刈り取る部分は抜け殻のような部分なため、ヨシの生態にとっても影響はありません。刈り取った後は火入れを行い、地下にあるヨシの茎以外の雑草の種子や病気のもとを焼くことで、翌年の春に葦が健康な状態ですくすくと伸びられます。

魚の成育場確保や水環境の保護のために、現在でも更に新しく葦が植えられています。

刈り取られた葦

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