その場所だからこそのいえ

土地(場所)にはそれぞれの特性・雰囲気があります。

それに逆らわず、建物を建築したり、地域開発をすべきという考えを”ゲニウス・ロキ”といい、18世紀のイギリスで生まれました。

その土地の風土・歴史なども尊重することで、優れた景観になると考えられています。

大学の時に実測調査に訪れたカンボジアのカンポンプロック(山田修二氏撮影)

雨の多い日本では、雨の吹き込みを防ぐために庇を伸ばした方が有利です。外壁も雨から守ることができます。

屋根は勾配をつけることで、水捌けを良くして雨漏りを防ぐことができます。

四季のある日本では、季節に応じて建物が使えるよう縁側、また建具で夏・冬の使用を切り替えるように工夫がされていました。

南面は窓を大きく取り、冬場に室内に日光をたくさん取り入れる工夫をし、逆に夏に日光が入らないよう簾をします。

景色がいい方向には窓を設け、風の向きにも逆らわずに通風を確保することが望ましいです。

 

このように考えていくと、自然と日本の昔ながらの建物の特徴と同じようになっていきます。

(さらに、積雪量や日射量、台風、降水量、風速、海か山かなどで地域ごとに特徴が分岐しますが)

現代のように設備や建材の性能が発達していなかった頃は、このような工夫をすることで家を快適で長持ちにさせようとしてきました。

つまり、これが日本という土地で人間が生活するためのあるべき姿の基本であり、土地の特性が現れた形だと考えられます。

 

あるべき姿が明確であったため、集落で建物が統一感を持ち、美しい景観を形成していたのだと思います。

現代では住宅設備が発達し、何も工夫をしなくても建物の性能さえ良くしておけば快適な生活が送れます。

また、建材も発達したため、庇がなくても少しくらいの間は綺麗な状態を保つことができます。

屋根の勾配がなくても、また多少建物の形を無理しても雨漏れする可能性が低くなったかもしれません。

 

その結果、どこの土地で建てても問題がないような、製品としての住宅が増えたように感じます。

車と同じような感覚で、性能と大きさ・価格だけを見て購入ができるというのは、知識がない人でも安心して家が買えるのかもしれません。

しかし、土地の特徴を活かさなくても問題がないため、建物のデザインは統一性・ルールがなくなってしまいます。

集落としての統一感が崩れてしまい、景観が画一的なものが増えてしまったのではないでしょうか。

 

それは、その建物を見てもどのようなところに建っているか予想をすることができないということです。

建物から土地の情景を感じられないというのは、土地の風土・歴史を尊重することとは遠いことだと感じます。

そして、たとえ設備の力で快適な生活が送れるにしても、夏は庇で日射を防ぎ、冬は日光を取り入れる方が省エネルギーになります。

また、建材の性能が上がったとはいえ、永遠に持つわけではなくいずれ交換の時期がきます。屋根でしっかりと雨から守られている

方が、同じ建材を使っているなら長持ちになるのは間違いありません。

そういったことから、私の目指す建物は、街の雰囲気や土地の特性を汲み取ることを大切にしたいと考えています。

 

・その土地の特性を見て庇の出や窓の大きさ、外壁の仕上げなどを考えます。

・敷地の状況を見て窓の位置やプランを考えます。

・大工さん・建具屋さんの技術など、受け継がれているものをできるだけ活用したいと考えています。

・材料も近くの産地から多く揃えるようにしています。

 

その土地の特性に合わせる事を考えると、デザインは奇をてらったものにはならず、自ずと骨格は浮かび上がってくると考えています。

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